空高く。恋晴日和1−3
「ん、みゅぅ?んにゃ……? たかみ、くん?」
もぞもぞと体をよじって、頭の中が八割方まだ寝ていますといったような顔でソラが貴巳を呼ぶ。
カーテンの隙間から漏れる光は、朝どころではない明るさだ。壁にかかった時計の針は、もう昼過ぎを指している。
「あんっ やぁん 貴巳くんドコさわってるのですかっ」
片腕はソラの頭の下だが、もう片方は自由になっている。その自由なほうの手で先に目覚めた貴巳が羽毛布団の中、むにむにと華奢な体に不釣合いなくらい豊かなソラの胸を揉んでいた。
「ソラの乳だけど?」
「だからっ チチって言うのはダメですっ! なんかやらしいのですよ!!」
「だって、やらしいことしてるし」
「開き直ったらかわいくないのですよっ!?」
「いや別に、オレ、かわいくなくていいし」
「んっ! やんっ こんなときに何してっ! る、のぉっ」
「むしろ起き抜けだし、ほら」
柔らかい胸を揉んでいた手でソラの手をとり、その中心に伸ばさせる。
「うひっ!? ななななな、なんでっ!? どうして? 結構朝まであんなにしたのにちょっと寝たらこんななんですかっ!?」
「だから、寝起きはこうなるの。割と自動的に」
「そ、そうなのですか?」
「そうなのですよ」
にやりと笑う貴巳に、ソラが体を少し後ろにやる。
「も、もうだめっ ソラもう壊れちゃうからっ! アソコひりひりするのよ? 初めてだったのに貴巳君が何回もするからぁ」
「何回もって、そんな……したっけ?」
「しましたっ! いっぱいしたっ!」
いつの間にかソラに覆いかぶさった貴巳が記憶を探って何回だったか思い出そうとしている。
「いいじゃん。もう一回くらい。ほら、こっちは大丈夫みたいだけど?」
先ほどもまれて勃ち上がった頂を舐めて吸い付いて両手で脇から寄せるように揉む。いくつもつけた赤い跡が明るくなった室内ではっきりと見える。まだかろうじて残った白い部分に吸い付いて、薄い茂みをかき分けて合わさったところに指を這わせると、そこは新しくあふれた蜜で音が立つほどしっかり濡れている。
にちゃっ くちゃっと音をたてて指を出し入れすると、自然とソラの腰が動き出す。
「んぅ だめぇ……あふぅん」
二本の指をナカに入れて、かき混ぜながら手のひらで花芯を捏ねるように押しつぶす。昨夜の残滓が混じったねっとりとした蜜が指に絡みながら流れ出る。
「ダメって言われてもやるもんね」
「んもぅ たかみくんはぁ」
困ったような笑みを浮かべて、ソラが貴巳の背中を撫でる。
それを合図にするように、熱い塊を同じくらい熱い泉に埋めていく。
「んふんっ あっ ふぅんっ」
「ここら辺がよかったっけ? ソラ?」
「はふぅんっ! あんっ!!」
ある一部の内壁をこすり上げると、より甲高いよがり声が上がる。言葉よりも明確な答え。粘つく音を奏でながら、出し入れを繰り返す。
「あっ ダメっ そっちまでいじっちゃだめぇっ」
ナカをこする動きとあわせて花芯を指で刺激すれば、それを追う様にソラが腰を使う。
「気持ちいい? ソラ?」
「あっ あっ ああっ あぅんっ きっ 気持ちいいっ きもちいいのっ 貴巳君のがっ もっ! ああんっ!!」
がくがくと首をたてに振りながら、ソラが甘く叫ぶ。ナカが先ほどまでと違ううごめきで貴巳を締め付けながらまとわりつく。半ばまで埋めて軽く動かしていた自身を勢いよく奥まで突き入れて引き抜く。じゅくりっと粘つく音が粘液とともに漏れて、さらに腰をぶつければやわらかい粘液をまとった、それと同じくらいやわらかい肉襞がその付け根にくちゃりと唇のような感触で絡みつく。
お互いの口から漏れるのは荒い息だけ。ただひたすらその瞬間を待ちわびるように深く浅く腰を揺すり、キスを繰り返す。しばらくの間交わす言葉もなく繋がりあった部分でお互いを感じることに集中する。
「もうイきそう?」
かすれた貴巳の問いかけに、ソラが再び首をたてに振る。ぐちゃ、ぬちゃっと響く音。ソラの声が徐々に間隔が短くなるのは突き入れる間隔が早まるせいだ。
「あっ もっ たっ たかみくっ……も、イきそ?」
「んっ……」
「ひぁっ! 来てっ! 来て来て来てぇっ!! もー……ソラ、いくっいくいくいっちゃうぅうぅっ!!」
弓なりに反って浮いた腰を掴んで、びくびくと収縮するそのナカに、己を解き放つ。この開放感があるから、あの脱力感さえも心地いいのだろうか。
荒い息を繰り返しながら、ソラの体を抱きしめて噛み付くようなキスを繰り返す。ソラも弾んだ息ごと食べてしまおうとするようにその荒い口づけに答えてくる。
繋がったまま余韻が消えるまでキスを繰り返し、少しだけ顔を離す。
どちらからともなく笑って、今度は軽い口づけを繰り返す。
うっとりと閉じられていた青い瞳が、ゆっくりと開く。透明な瞳の中に、自分の顔が映るのがわかった。
「えと、もうお昼だけど、おはよう、貴巳君」
もう一度だけキスをして。
「おはよう、ソラ」
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