ケース4−5 駿壱の場合
「あのね」
うん。
「華菜、ね」
ん?
「もう、眠いから寝ていい?」
嘘つけ。眠かったら前置きなしで寝るくせにナニ言ってんだろうか。今日まで何度俺が襲える機会があったと思ってるんだ?
「だめ」
気合の笑顔のままキッパリ返すとひどく傷ついたような、小動物系の瞳で見上げてくる。ちくしょう、弱いとこついてくるな……
「だめ?」
「眠くなったら途中で寝ていいから」
「寝っ! 寝らんないよっ!! だってすごい痛いのよ? 今もなんか残ってるみたいにじんじんするし、ゆっ……指だけでもあんな痛いのに、その…………」
口に出せずにもごもごと動かして、じっ……と華菜の視線が俺のに注がれる。
あー……まあ確かに。今の聞いたら、無理だなって思いましたよ。
「そうだなぁ」
「ね? でしょ? だから……ってっ!!!!!」
「痛くしなかったらいいだろ?」
言ってびっくり。未練たらたらのセリフ。しかも言いながら華菜の額を押して勢いよくベッドに倒す、足を取る。
「やー」
そして、最後の一枚を剥ぎ取る。
「やだやだやだやだっいっやぁー!! 見ないで見ないで見ないでみないでっ だめーっ!」
片足だけ抜いて、バカスカ殴り蹴られながら、少し乾きかけたそこに口をつけた。
「んあっ!!」
ぐーで殴ろうとした手が一瞬止まって今度は髪をつかんでくる。
「やだー……んなっトコ……!! だめッ……っだって、ば……」
手から力が抜けて行く。この強弱のすごさはなんだろう。
舌で反応のいい部分を探って、同時に足撫で回す。わざと音を立てて吸いたてて舐めまわすと、小刻みに全然抑制のない悲鳴みたいな声が漏れて、足が引きつるように紐で引かれているようにびくびく勝手に動いている。
「やっ はぁ……くっ んっ あッ い……ぃうん……も、やめ……んんっ だめ。それ以上したらおかしくなっちゃうよ。やめて……あっ あうっ」
小さく細い指が髪の間を這う。もうすでに引き離すような力はない。
実際アレだけ体中さわりまくってたのにこっちは途中で刺激やめてたわけだから、これだけ直接やれば、すぐに火がつく。
「やだ。だめっ どうしっよ……変になっちゃう……もうだめ……ん、んんぅっんあ」
ここでAVみたいなこと言ったりやったりするのはやめた方が絶対いいよな……隠語とかはもってのほかだろうし「いい?」って聞くのも……まあ、正直に答えるわけない。言ってほしいけどそこまでやらせるにはちょっとかわいそうか。
指がダメだったからどうかとも思ったけど舌入れんのは平気っぽい? き、聞きたい……聞きたいけど聞いたら気分が冷めそう。
とにかく、この状態でずるずる引き延ばすわけにもいかない。反応が際立っていいところを責めて、早くいかせた方がいいだろう。
「ん、はっん、ん……だ……はんっ……い、あ……ひっ んくっ あっ ああっ んっ……しゅっん……」
どんどん声が高くなって、音の間隔が狭くなる。頭に添えられた手はもう俺の動きを妨害することなくむしろ押さえつけるように力がこめられている。
「いっ あんっ いぃっ やっ はん……おにいちゃ……だっめ……もー」
ひくひくとわななく。舌ですくってもあとからどんどん溢れてくる。
だっ……ここでその呼び方か!? キツい。思いっきり下半身で動きそうになった。このセリフで来る俺ってやっぱりロリかも。
無意識だろう。体が、腰が、足が震えるように動いている。
とどめに、一番敏感な部分を、軽く唇ではさむ。
「いっやぁーっ!!!!」
華菜が、叫び声と同時に、全身びくびくと震わせて、やがてぐったりと、荒い息を繰り返す。やっぱり「いい」とか「イク」とかって言わせりゃ良かった…よりにもよってその言葉ですか? お姫様……
べったべたになった口のまわりを手の甲でぬぐって、そっと額にかかった髪を触る。
「ひゃんっ!!」
「ごめっ……」
びくっと華菜がものすごい反応をしたので、思わず謝る。
「あーうん。だめ。なんか、息するのもすごく、体が、自分のじゃないみたい」
大きく上下する胸を隠そうともせず、ただひたすら息をしている。そーっとさわりにいこうとしたら、思いきり制止された。触られると痛いらしい。体中が。なんで?
「わかんないもんそんなの。でもだめ。しばらくそっとしといて」
つ、冷た……いますごくひどいこと言われた気がしてならない。
今すごくかわいいのに、触れないのは切ない。悲しくなりそうだ。
「ちょっと下降りてくる。いい?」
答えずに頷くだけ。しょうがないのでベッドから降りて、落ちっぱなしの布団を華菜にかけて、部屋から出る。やらせてくれないしやってくれないなら自分でするしかないでしょう。もうせめて、今の感覚忘れないうちに。
ちょっと本気でなきそうになりながら、部屋の隣のトイレに入って声でも聞かれたら困るので、下のトイレに向かう自分がかわいそうで仕方なかった。
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